横山秀夫著『出口のない海』
横山秀夫著『出口のない海』を読み終わりました。
この小説は、佐々部清監督の手によって映画化されており、「半落ち」以来の横山&佐々部コンビの作品となってます。
現在上映中なので、中身については詳しく述べないことにしますが、第二次世界大戦中の人間魚雷「回天」に搭乗して死んで行った一人の男を中心とした物語です。
第二次世界大戦における日本の悲劇として語り継がれているものとしては、民間人を巻き込んだものでは、広島・長崎の原爆投下、沖縄の地上戦、東京大空襲、ソ連軍の侵攻などが主に挙げられますが、日本軍の悲劇の中では、神風特攻隊とこの人間魚雷にまつわる物語が一番せつなく、やるせない気持ちにさせられます。
それは、この本にも書かれてますが、人としての感情を捨てて兵器の歯車になりきらなければ成立しえない「必死隊」だからでしょう。
戦争体験の無い作者が、持ち前の想像力を駆使して、揺れ動く当時の人々の心を上手く表現していると思います。
読みながら、思い切り感情移入してしまいました。
最終兵器「回天」という名の棺桶に詰め込まれ、兵器の歯車として死んで行くなんて絶対に嫌じゃ~!
でも、
敵国にみすみす上陸され、文化・伝統を、郷土を、家族を、土足で踏みにじられるのも嫌じゃ~!
では、こうなる前に、戦争になる前に、ならないようにするしかありません。
そのためには、素人の思いつきで申し訳ありませんが、地球上の軍事組織を1つにするしかないように思います。
実現に向けては様々な問題があるでしょう。
問題点が国によって違うでしょう。
しかし、その問題の1つ1つが本当に人の命より大切なことかということを、いちいち問いかけてみるという作業を初めてみる価値はあるように思います。
果たして、人の命より大切なものはあるのでしょうか?
2度も世界大戦を経験して、嫌という程戦争の悲惨さを味わったので、そろそろ次のステージに進みましょう!
難しい問題は、シンプルに考えるのが一番です。
あなたは、次のものを守るために自分の命を捨てることができますか?
意地、プライド、夢、希望、仕事、趣味、自然、思想、宗教、文化、伝統、財産、国家、故郷、土地、家、隣人、友人、恋人、親戚、ペット、祖父母、父親、母親、兄弟、奥さん、旦那さん、子供。
どれならOKですか?
また、これらのもの(+自分の命)を守るために人を殺めることができますか?
これらのものを守るために自分の愛する息子を死地に送り出せますか?
「このような大切なものを守るために命を失くしては意味が無い」
と言う人がいるかもしれません。
逆に、
「このような大切なものを失くしてまで生きていても意味が無い」
と言う人もいるかもしれません。
この本は、戦争になると嫌でも、何のために死ななければいけないのかという問題と向き合わざるを得ないということを改めて教えてくれました。
いや、戦争になってからでは遅すぎます。
憲法改正論議は、このようなことを真剣に考えるにはいい機会かもしれませんね。
でも、その議論を世界規模に拡げなければ最終的に戦争は無くなりません。
それができるのは、唯一の核被爆国で、曲がりなりにも平和憲法を60年以上守ってきた日本かもしれません。
この本にも載ってた歌( 同期の桜.)ですが、去年亡くなった叔父が、酔っ払うとたまに歌っていたのを思い出しました。
ただ、叔父が歌っていたのは、リンク貼らせて頂いた歌詞のように、小説では「回天隊」となってるところが「兵学校」だったように思います。
貴様と俺とは 同期の桜 同じ回天隊の 庭に咲く
咲いた花なら 散るのは覚悟 見事散ります 国のため
(関連記事) 〓さざまるの雑記〓: 池上彰著『そうだったのか!アメリカ』.
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出口のない海 著者:横山 秀夫 |
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コメント
出口のない海。今映画してますねw
まだ観てはいないんですが、予告の「これが俺の夢だ!!」の所で泣いてしまいました(笑)
何の為に命を…。
そうですね。ウチは家族、特に弟の為ならきっと自分の犠牲なんて平気でしょう。
同じ両親の遺伝子を持ってるのは弟だけですからねw
戦争は全てを奪います。もう2度と過ちは犯さないようにしないといけませんね。
投稿: ささこ | 2006年10月 2日 (月) 21時34分
ささこさん、こんばんは。
いやあ、小説に触発されてちょっと熱くなってしまいました。
主人公が野球バカだったことと、回天基地が私の故郷の近くにあったことも感情移入できた理由かもしれません。
>特に弟の為ならきっと自分の犠牲なんて平気でしょう。
とても昔グーで殴った人とは思えませんw
この人のためなら犠牲になれると迷わず言える存在がいるってことは素晴らしいですね。
私の姉弟は、それぞれに家庭を持ってから15年以上と長く、まずは自分の家族内で守りあってくれって気持ちが先に来てしまいます。
臆病者の私自身のためにも戦争は避けたいです。
投稿: さざまる | 2006年10月 2日 (月) 23時39分